アイスクリームのお皿

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【BL】はじめてのBL小説 『言ノ葉ノ花』『COLD SLEEP』

BL漫画は読む。でも小説ってどうなの?

という方、意外とたくさんいるんじゃないでしょうか。

 

実は私も、おたく歴のわりにBL小説には一度も手を出したことがありませんでした。というわけでギークでありながら全くの初心者がはじめてBL小説を読んでみた感想です。

思いっきりネタバレしているので未読の方はご注意ください。

 

封神演義』がきっかけで二次創作の世界に足を踏み入れたのが小5。某マフィア漫画でBLにはまったのが高1と、まずまずのおたく優等生コースを歩んできた私が、なぜか今まで一度も手を付けなかったのが商業BL小説です。

理由はというと、避けていたわけではなく単純にあまり興味がなかっただけ。

好きなジャンルの二次創作ならまだしも、オリジナルの商業BLを開拓するのって難しいですよね。腐女子の好みは本当に千差万別で、それぞれのツボを追及していくうえでキャラの容姿というのはとても重要なポイントなのです。他にも作品の雰囲気、ストーリー、キャラの性質など色々なポイントがありますが、表紙から伝わる情報の多さ・わかりやすさは漫画の方がどうしても上。

もちろんジャケ買いで失敗することも多々あります。でも、パッと目に入る漫画の方がより自分のツボに合った当たりを見つけやすい。絵が好みなら話がつまらなくてもまあ大目に見れる。店頭でビビッときてポイッと買えて何気なく読める手軽さが商業BL開拓には大事ということで、ついつい漫画に手が伸びてしまいます。

 

今回はおすすめ商業BL小説を紹介している方をネットでたまたま見かけ、挙げられた作家を一人も知らないことに気付き、読んでみようかなと思い立ったのがきっかけです。

そこで詳しい友人におすすめを訊いて、以下の2作品を読んでみました。どちらもBL小説界では超有名らしい。

 

100%対峙する関係『言ノ葉ノ花』砂原糖子

言ノ葉ノ花 (ディアプラス文庫)

言ノ葉ノ花 (ディアプラス文庫)

 

 紆余曲折あって甘々ではないけど、安心のハッピーエンドが待っているんだろうなぁというのが読んでいてわかる。むしろ表紙からも伝わってくる。こういう最後にはちゃんと希望が見えるお話、好きです。

主人公はある日を境に他人の心の声が聞こえるようになって…という逆サトラレ物語。設定が現代のサラリーマンというお仕事BLなので、当然心の声と口から出る言葉はみんな違う。ストレス社会で疲弊している心をへし折るようなわりとリアルなイベントが容赦なく起こるので、同じ社会人としては結構つらいものがある。実際心の声が聞こえるようになったら、まあ、病むよね!主人公みたく社会復帰とか無理よね。

主人公の余村は声が聞こえるがゆえに優しくて臆病で、そこが恋愛にも反映されている。で、聞こえっぱなしで終わらずに途中で声が聞こえなくなるんですが、今までさんざん悩まされた能力がなくなってからの苦悩もちゃんと描かれているのがいい。

相手が何を考えているかわからないなんて怖い、信用できないと寡黙で誠実な部下・長谷部とすれ違ったりします。当たり前のことだけど、そういえば私たちって何考えてるかわからない人間の中で毎日生活してるんだなぁ。

通常は非公開の他人の心の内を知りたいと思ったら、こちらもさらけ出さないと見せてもらえない。そのリスクを負ってまでも知りたいと思えるのは、恋愛でも友情でも疲弊する価値のある関係だと思いました。

あと、心の声と実際の声の言葉攻めがよかった!ザ・言葉攻めという感じではなく、図らずもなエロさがいい。

 

爆弾を隠し通す関係『COLD SLEEP』木原音瀬

COLD SLEEP (新装版) (ビーボーイノベルズ)

COLD SLEEP (新装版) (ビーボーイノベルズ)

 

『言ノ葉ノ花』のあとに読んだせいで油断していた。

木原先生はBL界の極北といわれており、「痛い・泣ける・切ない」作風というのも一応知っていたけど甘かった。いやでも木原作品の中では全然軽傷な方らしい。

主人公・高久は交通事故で記憶を失くし、友人だったという謎の多い藤島に引き取られて同居生活が始まる。途中までは順調に2人の関係が良くなっていくように見えるので安心しきって読んでいました。ケーキ屋でバイトを始めたあたりがこの作品の幸福度ピークで、影響されて思わず帰り道のベローチェでケーキを買ってしまったり。この後どうなるか知らずに…。

基本ハッピーエンドが好きで鬱展開にはあまり耐性がないこと、油断していたことなどもあり、刺される展開は予想だにしていなかったのでおおいにビビりました。

藤島の主人公に対する愛情がとても複雑で、愛しているのに好意を持たれることにひどく怯えているのが悲しい。無口で素性も明かされないので、心の内に抱える爆弾のような愛情と恐怖がよりいっそう存在感を増し、不穏な空気が作品全体に漂っています。

砂原先生は思いっきり小説っぽい文体(三浦しをん氏みたい)なのに対し、木原先生は全く飾り気がなくて読みやすく、個人的にはこちらの方が好きです。BLは主人公が受けのことが多いので、途中で逆か!と気付いたり新鮮でした。金持ちで自由にさせてくれる自炊しない年上のリーマンという設定なら攻めかと思いますよね。

最終巻まで読み通せるかかだいぶ不安ですが、ちゃんと読んでまたアップします。

 

 

今回読んだ2冊は、心の内をさらけ出すか・抱え込んで隠し通すかという点で対極の作品でした。

BL小説は思ったよりさらっと読めて漫画に比べ自分の中でイメージをカスタマイズしやすいところがよいです。開拓していくので、おすすめがあったらぜひ教えてください。