アイスクリームのお皿

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博物館で野外シネマ 『銀河鉄道の夜』

10月2,3日に上野の東京国立博物館で開催された【野外シネマ】に行ってきました。

上映作品は宮沢賢治銀河鉄道の夜』。

つい先日行ったばかり、覚えているうちにレポートしておこうと思います。

 
座席確保について

野外シネマは今年で2回目だそうです。存在自体全然知らなかった。

とにかく人が多くて立ち見もいると聞いていたので、代々木公園のタイフェスみたいな有様だったらやめておこう、程度の期待値でのぞみました。

もともと東洋館の「博物館でアジアの旅」が目あてだったので16時前に到着。

簡易椅子は1,000席まで。どのくらい埋まってるのかと思ったら…大体あいてる!

余裕で前方の席に座れました。最前エリアも常設のベンチも空いてるし選び放題。レジャーシートをひろげて芝生席を確保している人もいました。

 

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人の入り方を見ていて驚いたのは、野外シネマだけを見に来た人が圧倒的に多いこと。

17時半くらいから一気に人が増えて、どの屋台でも行列が目立つように。この時間帯に来た人は博物館に入らず、だいたいが席確保→屋台で食べ物を買って食べるという流れでした。

フェス感覚の人が大多数なのね。館内ちゃんと回ったら半日は過ごせるのに、もったいない感じ。たった620円で映画も国宝も見れるなんてお得すぎるもの。

 

映画のおともになに食べる?

屋台は「アジアの旅」にちなんでアジア料理縛り。アルコールも1店舗くらいあった。

ケバブ、ステーキ、たこ焼き、カレーなど。値段はどれも1,000円未満。開始前は結構並ぶので持参できれば一番よいのでは。

私は東京駅で買ったユーハイムのミートパイと雑賀梅酒を持っていきました。あんずパイもめちゃくちゃおいしそうで結構迷った。

神戸牛のミートパイ グランスタ店 - 大手町/パン [食べログ]

物足りなくて屋台でガパオライス(650円)を食べたら満腹になってしまい、後悔。本館B1Fにセブンティーンアイスの自販機があったので、そっちにしとけばよかった。

まあこの映画に一番ふさわしい鑑賞のおともは林檎なんですが。

 

宮沢賢治銀河鉄道の夜

簡単なイベントの概要説明が10分ほどあり、上映開始。

上映前にトップメニューを表示しておいたせいか、始まってから「野外シネマで映画みるよ」という、いわゆるSNS投稿用の写真を撮る人がほとんどいなかったのがよかった。途中から来た人は撮ってたけど。

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初めて見たのは高3のとき。もうすぐ卒業で授業もなくて、閑散とした学校の図書館で観た覚えがあります。もうほとんど覚えていないので初見に近い状態で観ました。

これはまちがいなく映画館や屋外で観るべき映画だった。映像のうつくしさと音楽に圧倒されてうっとなる。音楽:細野晴臣なんだ。子供の頃に観てたらトラウマになってたかもしれない。鳥を獲るネコおじさんとか、タイタニック号とか、牛乳配達屋のネコばあさんとか、今観ても怖い。

 

映画というより夢を見ていた感じ。ちょっと現実とずれたところにある世界を覗いてしまったような、やばいものを見ちゃったような感覚。作中でもジョバンニの夢として扱われるけど、感覚はあくまで本物。

ジョバンニは思わずかけよって博士の前に立って、ぼくはカムパネルラの行った方を知っていますぼくはカムパネルラといっしょに歩いていたのですと云おうとしましたがもうのどがつまって何とも云えませんでした。

宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫)より

 

カムパネルラの行き先を伝えようとするけど言葉が出てこない。個人的体験は誰にも共有できず、ジョバンニにとっては夢だったなんて微塵も思えない。彼が唯一それを共有できる・体験を証明できるのは映画の観客である私たちのみ。

夢オチもの(と言っていいのか)は観ている方も背負わされるので、ふらっと作品の中に惹きこまれてしまうのだと思います。作中の誰も見てないしわかりえないものを観客とドリーマーだけが分かち合えるという。個人的にはそれがたまらないんですけども。各々心にしまっておくしかない、秘密の共有が。夢じゃないかもしれないってのがまたよい。

このアニメ映画のすごいところは登場人物をほぼ全員ネコにしたところだと思っていて、そこも夢っぽさを醸し出す大事な装置の一つなんだろうな。

 

アニメならでは

この映画自体が奇跡みたいなものですが、特に印象的だったアニメならではのシーンを挙げてみました。原作とアニメを照らし合わせてみるのもたのしい。

  • かぶと虫の影が天井に大きく映る
  • 鷺獲り全般
  • 新世界交響楽
  • 水に濡れたところが光る

一番すごい!と思ったのがこのシーン。

鳥捕りは、黄いろな雁の足を、軽くひっぱりました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれました。

宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫)より

 もうこの文章だけでやられたと思うのに、アニメでこれがちゃんと再現されていたのにはたまげた。ぜひ観るときチェックしてみてください。

 

所々でアニメ『輪るピングドラム』は本当にここから来ているんだなーとしみじみ思って見返したくなった。本当はピンドラについてもこの記事で触れようと思ったけど長くなりそうなので割愛。

一番突き刺さった台詞を引用して感想おわります。

「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中のできごとなら峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから。

宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫)より

 

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上映後、本館内であまったフライヤーの配布あり。

観終わってすぐ行ったのでポスター、チラシ2種を入手できました(一人一部の配布)。

銀河鉄道の夜にぴったりでかわいい!画像左は去年の『時をかける少女』。

出るころには長蛇の列ができていたので、刷部数にもよるけど配布方法は改善したほうがよいのでは。

宮沢賢治と上野」について、ごく小規模な展示も鑑賞後のたのしみでよかった。

ただ、パネルと字が小さく読みづらかったので、もっと大きいものだとありがたい。

博物館内でこんなに大規模なイベントをやるのは、普通のフェスと違って色々制約があるのだと思いますが、改善されて続いていくといいんじゃないでしょうか。

 

ここまで書いといてあれですが、屋外の映画祭は長野の原村で毎夏やっている「星空の映画祭」がベストだと信じているのでそこは越えられませんが。。

星空の映画祭 オフィシャルホームページ

この時期のお出かけにぴったりのイベントなので、来年もチェックしておきます。